(改良版) 飲食店のための改正健康増進法解説
喫煙についての制度の変更と、新ルールの導入にあたり改正された法律を健康増進法と言います。新しい制度のの裏付けとなる法律です。すでに国会で承認され、2020年4月1日より開始されます。新ルールの中身を見てみると、
①多くの施設において屋内が原則禁煙
②20歳以下は喫煙エリアに立入禁止
③屋内での喫煙には、喫煙室の設置が必要
の4項目から成っています。それぞれを少し細かく見てみると、
①多くの施設において屋内が原則禁煙
学校、病院等は敷地内禁煙、学校、病院等以外で、第2種施設と呼ばれる施設(不特定多数が出入りする、お店やホテル、商業施設等)は、屋内禁煙となります。施設の分類については消防法などを調べてください。ちなみに飲食店は、第2種施設になるかと思います。
②20歳以下は喫煙エリアに立入禁止
(1)20歳未満の客を喫煙室に案内しない、20歳未満のスタッフを、喫煙室で働かせない。
(2)管理権限者、事業者は、20歳未満の者が喫煙室に立ち入らないよう気を配る。
(3)事業者は、20歳以上の受動喫煙を望まないスタッフについても配慮する。
喫煙が可能な店舗では、20歳未満の人は働くことができなくなります。また逆に、店内に喫煙室を持つ店舗では、喫煙室での業務を行える20歳以上のスタッフが必要となります。
③屋内での喫煙には、喫煙室の設置が必要
喫煙室には以下の種類があります。
(1)喫煙専用室
(2)指定たばこ専用喫煙室
(3)喫煙目的室
(4)喫煙可能室
また、全ての喫煙室について共通の要件として、以下が規定されています
[要件]
(1)出入口における室外から室内に流入する空気の気流が0.2m/秒であること
(2)たばこの煙が室内から室外へ流出しないよう壁、天井によって区画されていること
(3)たばこの煙が屋外または外部の場所に排気されていること
(4)喫煙室並びに施設の主たる出入口に、標識を掲出していること
(5)20歳未満の者を立ち入らせないこと
(1)喫煙専用室
喫煙をすることに特化した施設。飲食の提供は不可。
要件: 上記の[要件]
(2)指定たばこ専用喫煙室
指定たばこ(加熱式たばこ)のみ喫煙可能な施設。飲食の提供が可能。
要件: 上記の[要件]に加え、ホームページ、案内看板、パンフレットなどの広告、宣伝を行う際はこのお店に指定たばこ専用喫煙室が設置されていることを、明瞭かつ正確に表示すること。
(3)喫煙目的室
シガーバーのような、喫煙を目的とした施設。飲食の提供は可能。とのことですが、今回は一般の飲食店向けにまとめを作成させてもらっていて、その観点からだとあまり詳しく知らなくてもいいかなと思ったので、割愛します。興味のある方は調べてみてください。
(4)喫煙可能室
既存特定飲食提供施設に対してのみ、新ルールの影響を考慮して、経過措置として、設置を認めた施設。飲食の提供が可能。
既存特定飲食提供施設とは?
以下の要件を満たした施設のことです。
(既存特定飲食提供施設の要件)
・令和2年4月1日時点で営業している
・個人、または資本金5,000万円以下の会社が経営をしている。
・客室面積が100平米以下。
とのことです。話を戻し、喫煙可能室について
要件: ①上記の[要件]に加え、ホームページ、案内看板、パンフレットなどの広告、宣伝を行う際はこのお店に指定たばこ専用喫煙室が設置されていることを、明瞭かつ正確に表示すること。
②当該施設が既存特定飲食提供施設であること及び、既存特定飲食提供施設であることを証明する図面や企業パンフレットなどの資料を携帯していること
③既存特定飲食提供施設の全部の場所を喫煙可能室とする場合は、[要件]の(1)〜(3)に代えて、喫煙可能室以外の場所にたばこの煙が流出しないよう、喫煙可能室が壁、天井等によって当該喫煙可能室以外の場所と区画されていること
④事業者は知事、地域によっては市長、区長に届出を行う。
⑤管理権限者は保健所に届出を行う。
なお事業者とは事業を行う者、当該施設にてお店等を経営している者のことで、管理権限者は正当な管理権を持つ者、当該施設の所有者や事業者、場合によっては管理会社も該当するようです。
さらに経過措置とは、新しいルールに移行する際に発生する不利益や不都合などを極力減らすために取られる一時的な措置、という意味みたいです。つまり、期間限定の対応ということです。
簡単にざっとですが、新しいルールについての概要は以上となります。なお新ルールの詳細についてや、記載以外のこと、例えば喫煙室の導入等に際する補助制度や、罰則についての詳細、標識のサンプルなどは、厚生労働省のホームページに掲載されていますので、そちらをご確認ください。